ウスキツマキリコヤガ

【屋久島図鑑】No.15
名前は浅黄(ウスキ) 色で、翅の端(ツマ)を切り(キリ)取ったような形の小(コ)型の夜蛾(ヤガ)の仲間と言う意味です。
虫や生き物の名前にはしばしば伝統的な色や古語の表現があります。
古典を読むように生き物の名前を読んでみると親しみが湧くかも知れません。

屋久島が分布の北限(これ以上、北では見られない)で、東南アジアから南アジアにかけて広く見られます。
幼虫はハマサルトリイバラと言って、屋久島名物カカラン団子に使われる葉っぱの仲間の植物を食べます。ハマサルトリイバラは九州本土でも見られるので、もしかするとこの蛾も九州本土で見られるかも知れません。

翅(はね)の模様をよくよく見るとレトロゲームの画面やモザイク画の様です。
蛾や蝶の翅は鱗(うろこ)のような鱗粉(りんぷん)に覆われています。
鱗粉一つ一つに色が決まっているので、大きな蛾や蝶では気になりませんが、小さな翅の種類はよりモザイク画感を味わえます。
因みに、蛾や蝶のグループは翅に鱗粉を持っているのでかつては鱗羽目(りんしもく)と呼ばれました。今はチョウ目(もく)と呼ぶのが一般的です。

眼の前方で角のように上に伸びているのはパルピの一部、日本語でパルピは下唇鬚 (かしんしゅ)と言います。
パルピは眼の前方のヒゲのようなところから続いています。
蛾や蝶の仲間はストローのような長い口を持っていますが、花の蜜を吸う時以外はクルクルと丸めてこのパルピの中にしまっています。
※原始的な蛾はストローのような口では無く、噛む口を持っています。また、一部の蛾は成虫になった後、餌を食べない為、口が退化してしまっています。

和名:ウスキツマキリコヤガ
学名:Lophoruza lunifera
分類:チョウ目 ヤガ科 ベニコヤガ亜科
撮影日:2021年12月17日
撮影場所:鹿児島県屋久島町長峰

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