奥座敷の星空

松田です。

『奥座敷の星空』今回は奥岳への道の途中、小花之江河の天の川の写真です。

先日友人から印象的な言葉を教えてもらいました。近所のばっちゃん曰く『屋久島の奥座敷は花之江河んことよ』

奥座敷というのは上座のこと。客人が来た際に案内する場所のことです。要は建物の奥、客人をもてなす場所を意味します。

花之江河は尾之間歩道、栗生歩道、湯泊歩道など里から繋がるいくつもの道が交わるところで、それぞれの道から派生する古道、廃道を含めると奥岳参りには欠かせない場所であったに違いありません。そのような背景があるので、花之江河には祠が祭られ、今もなお江戸時代のものであろう寛永通宝が残っています。

昔から屋久島は山岳の島であり、神々は山や森の中に存在します。今でこそ林道のおかげで奥岳の山々へはアクセスがよくなり、日帰りで帰ってくることもできるようになりました。だけど昔はそうたやすく奥岳へ行くことはできなかったことでしょう。

奥岳の奥の奥はなかなか踏み入ることはできなかった。それは恐れ多いからか道が険しいからか。だけど奥岳の玄関口である花之江河まではなんとか行くことができたといいます。だから屋久島の奥座敷は花之江河。島を訪れる人をもてなす場所だったといいます。この話どこまで本当かはわかりませんが、新鮮で僕の脳裏に焼き付きました。

屋久島の古謡『まつばんだ』では屋久島の山岳のことを謡っています。「屋久のお岳をおろかに思うな 蔵の宝より なお宝」

今も昔も来島する人がいる。信仰のために登る人、客人をもてなすために登る人、写真を撮りに登る人、百名山のために登る人、まったく登らない人、登りたくても登れない人。時代の背景によってさまざまで善悪もありません。

ただ、先人が守ってきた宝や想いをつむぎ、受け継ぐのが今を生きる僕たちの役目なんだとこの話や詩を聞いてスッと心に入ってきました。

そんななか、無性に奥座敷の星空を撮りたくなって、梅雨の晴れ間を狙い花之江河へ。道中の小花之江河で水面に写る星空が美しすぎて、本丸にはたどり着くことはできませんでしたが、誰もいない静かで心地よいシャッター音が響く夜を満喫させていただきました。

夜の奥岳に入ることは宝を独り占めするような複雑な気持ちにもなります。神様には盗人と思われているかもしれません。だけど、良くも悪くも扉の向こうは気になってしまいます。人間だもの。願わくばそんな僕をお許しください。

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