屋久島の秋さがし

本州と違って屋久島の山岳の紅葉はとても地味です。着物に例えるのなら、日本一と言われることが多い北アルプスや栗駒山では、ド派手な振袖(ふりそで)のように色とりどりに紅葉します。それに対して屋久島は、クールなワンポイントで美を表現する紋付き袴(はかま)のよう。

屋久島の紅葉はパッとしないとよく言われてしまうので、今日は主張させてください。

屋久島の紅葉はめっちゃ渋いっ! 世界一っ! また世界一って言ってしまった。笑

1年中葉っぱをつけた常緑樹の多い屋久島の山では、紅葉する落葉樹はとても少ないので華やかさはなく、紋付き袴の家紋のように控えめなのですが、なぜか象徴的に秋を主張してくると感じるのは僕だけでしょうか。日本の「わびさび」の美意識をくすぐる風景が屋久島の秋の山岳には存在しています。

そんな屋久島の渋い秋の山肌を眺めながら、木々が眠りはじめた静寂の空気感を五感でフルに感じながら歩く山登りは、なんとも心地がいいものです。

「屋久島の紅葉は地味だなあ」と言われちゃうと、写真家の性分としては、その地味さの中にある華やかさを表現してみたくなります。しかし、涸沢のカールの紅葉を知ってしまっていると、屋久島で華やかな秋の風景を見つけ出すのは正直難しいです。そんなわけで、秋は一年の中で最も感性を悩ませながらシャッターをきっています。今日は数枚ですが、そんな作品を紹介したいと思います。

一見、華やかそうに見えますが、オレンジ色に見える部分のほとんどは落葉してしまったヒメシャラの枝です。毎年、奥岳からヒメシャラの紅葉を狙っていますが、台風などの強風で紅葉する前に葉が落ちてしまうことが多く、ヒメシャラの状態の良い紅葉写真を山の上から切り撮るのはなかなか難しいです。

朝焼けに染まるヒメシャラ

こんな感じで、紅葉する前に落葉してしまいます。

葉が残っているとこんな感じです。黄色に染まることが多いです。森の中では、葉のついた状態を見つけることは容易ですが、山頂から俯瞰したときにヒメシャラの黄葉を広範囲に見つけることはなかなか難しいです。ヒメシャラは黄葉するタイミングがバラバラなのかな?自分の入山タイミングが悪いのかな?毎年、秋はいろいろ疑問が湧いて悩ましいですが、それがまた山の楽しさでもあります。

地元では有名な淀川のコハウチワカエデ。かなり見応えあります。この御仁が紅葉するときは多くの島の方々に出会います。屋久島ではトップクラスのゴージャスさです。

単体の木として僕がもっとも紅葉が綺麗だと感じる木は、アオツリバナ。紅ではなく淡いピンクに染まります。かなりメルヘンな気分になってしまうので、背中に羽が生えて妖精になれる気がしてきます。笑

そして、屋久島ならではの紅葉といえば、常緑樹の木に着生した落葉樹が紅葉するシーンです。

常緑のツガの幹で発芽したナナカマドが紅葉している写真です。

また、屋久島で有名な屋久杉も同様です。常緑の杉が紅葉する姿を拝めるのは、死んで枯れゆく時ぐらいです。しかし、屋久島の森に生きる長寿の屋久杉には、多くの落葉樹木が着生して一緒になって生きているので、あたかも杉が紅葉しているかのように見えることがあります。

縄文杉のナナカマドが屋久島の独特の秋を表現するかのように、紋付き袴の家紋のように紅葉していました。

ん〜、屋久島の紅葉風景はやっぱり世界一っ!

ではでは、わびさびの中にある華やかな秋を見つけに、雪のふる前に是非山に足を運んでみてください。

おまけ写真を1枚。

2017年11月24日に黒味岳山頂で撮影した写真です。赤い部分はアセビの花芽です。これから、凍つく冬をじっと耐えて春になると真っ先にクリーム色の花を咲かせます。

この原稿がアップされる頃はもう、冬がいつ来てもおかしくない季節だと思います。秋と冬の狭間を楽しみながら、屋久島ライフを満喫してくださいねー!

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