玉か石か?

新種ヤマコホラヒメグモの♂

【屋久島図鑑】No.29
実物はかなり小さく、脚を除くと体長2㎜程度。
正直言って、野外では何か分からずに取って来ます。
今回はたまたま新種になりました。
この写真のクモはホロタイプと言う特別な標本になり、国立科学博物館に収蔵されることになりました。正基準標本とも言われ、今後ヤマコホラヒメグモと言う種の基準となる存在です。

和名:ヤマコホラヒメグモ
学名:Nesticella silvicola
分類:クモ目 ホラヒメグモ科 コホラヒメグモ属
撮影日:2023年3月29‎日
発見場所:鹿児島県屋久島町長峰

参考文献:Integrative taxonomic revision of the genera Nesticella and Howaia in Japan with the description of five new species (Araneae, Nesticidae, Nesticellini)

1枚目と同じクモを上から撮影

このクモは今のところ屋久島のみでしか見つかっていません。
つまり、屋久島固有種になります。

世界には175万種の生物が確認されています。 もし、全ての生物の確認ができれば3,000万種程度ではないかと見積もられています。
今世界では年間4万種程度生物が絶滅していると推計されています。また、その多くがまだ未発見の種だと考えられています。

屋久島でも多くの新種が見つかり、筆者の手元にはまだ名前の付いていない虫たちの写真があります。
そのほとんどが屋久島国立公園の外で記録されたものです。ましてや世界遺産エリアではありません。

屋久島が世界遺産に登録されて30年。その価値と保全のあり方を再考するタイミングに来ているのではないでしょうか。
植物でも国立公園外で絶滅が危惧される状況です。詳しくは下記を視聴願います。

メスを横から撮影。脚が3本欠損している。

筆者は生物学者では無く、本業の片手間に森に入り生き物を採取します。
玉か石かも分からずに。
採取したサンプルは専門家に発送します。いつも想像以上の返事に驚かされます。
この玉を未来に残す為、写真を撮って記録します。未来の人に屋久島の森で再評価してもらう為に。

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