障子尾根と天の川

あらよ、夜の松田です。

先日メンバーの田中と障子岳の撮影に行ってきました。

最期の秘境でシャクナゲに夕日に朝日と撮りたいものはたくさんありますが、気づけば心は夜の世界にあります。

『なんで夜なの?』そう思う人もいるでしょう。

自分は写真を表現するにあたってPhotographerという響きが気に入っています。カメラマンじゃなくて Photographer 。『写真』という言葉は真実を写すと書きます。確かに目の前のモノを写しているのですが、星空はどうでしょうか?

この写真の天の川も肉眼ではこれほどまでは見ることができません。長時間シャッターを開き、たくさん光を取り込みやっとこさこんな写真になります。星空の色見もカメラの設定や編集次第でまったく違うものになります。

僕が屋久島に初めて来たとき本物の夜があることに感動しました。街灯の明かりも入らない真っ暗な夜。そして空に輝く無数の星たち。街は明るすぎて星どころか月の存在まで忘れてしまいがちです。なので、ガイドツアーに参加のゲストからもこんなに星を見たことはないという声をよく聞きます。だけど、見る場所によって見え方は違えど、星たちはどこから見ようと変わらずその場所に存在します。

星空の写真は実際見た風景とは異なるかもしれません。しかし、天の川や無数に写る星たちは人間の目のセンサーには反応しないだけで実際にはそこに存在します。

屋久島からは素晴らしい星空が見えます。でも、もしかしたら何百年も前の経済活動のない時代にはもっと綺麗に見えたかもしれません。都会もそう。きっと数千年前の縄文時代、人々が大きな村を作る前の時代は東京からも素晴らしい星空が見えたことでしょう。そんなことに気づいたとき『星を撮らなきゃいけない』という衝動に駆られたのを覚えています。

『目に見えないモノまで表現する』。星を撮るということはそんな行為だと思います。本来あるものを機材を用いて捉え絵にする。だって見えなくても、そこにあるんだから写したいし表現したいじゃん。

コロナの影響で経済活動が小規模化しインドからは数十年ぶりにヒマラヤ山群が見えたといいます。春の頃、屋久島からも奥岳の山々からはいつも以上に遠くの島々や本土まで見渡すことができた日が多くありました。

自分のいる場所は少なからず、地球上のどこかしらからの影響を受けています。それはすごく身近であったり、想像もしないほどの距離があったりします。これは地球という星に生きる以上致し方ない事実でもあります。屋久島から見る満天の星空も50年後や100年後には見えなくなっているかもしれません。逆のこともありきです。

そんな見方をすれば星空の写真も今という瞬間をとらえる立派な『真実』かもしれません。僕はそんな現代の屋久島の夜の姿を Photographer として自分の色で表現していきたいなぁ。

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