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天空の山~雲に浮かぶ黒味岳~

あらよ、松田です。

今回の写真は朝日に照らされた黒味岳です。

自分はガイドの仕事としても、個人的な楽しみとしても山中宿泊の登山が好きです。もちろん日帰りの方がラクだしスマートかもしれませんが、山がドラマティックなのは朝と夕刻。その時間に出会うには泊まるしかありません。

縦走登山は衣・食・住のすべてを自分のバックパックに詰めて歩きます。大学山岳部時代に最初に教え込まれたのは岩登りでも、ロープワークでもなく『生活』です。山でいかに快適に生活するか、衣食住について徹底的に学びました。おかげで長期の入山でも山を自由に楽しめるようになりました。

重荷を背負って歩く。夕日を眺め飯を食い朝日で目覚めまた歩く。ただただそれの繰り返しの中に、当たり前への感謝や自分の肉体や心の気づきがある。

登山はしんどいこともあります。なんでしんどいのに山登りするの?ともよく聞かれます。だけど、しんどいことや抗うことのできない自然のリアルさの中に身を置くことはこんな現代だから必要なんじゃないかとも思います。

縄文時代あるいはもっと昔からヒトは自然の中で暮らしていました。そこには自然の豊かさとともに自然の脅威も隣り合わせにあったことでしょう。コントロールできない自然の中でどうやって生き残っていくか。どう乗り越えていくか、受け止め抗っていくか。そんな本能的な生き方をしていたはずです。

登山はそんなヒトの本能的なものや困難を疑似体験できるツールなんじゃないかと思います。山に登る人たちは美しい景色や達成感などとともにそんなリアルを求めてるんじゃないかなと。

そして、自然のなかに入ることでしか味わえない瞬間もきっとあります。何度も登っているし何度も眺めている黒味岳ですが、朝日を浴びて雲に浮かぶ姿を見たのはこのときが初めてでした。連日の縦走、寒い夜を超え朝日のありがたさを感じながら撮った1枚です。

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