【屋久島図鑑】No.5
宮之浦岳から永田岳に向かうとき一度下って、登ります。
ああ、飛んで行けたら良いのに。
きっとこのゴミムシもそう思うはず。
オサムシ科のゴミムシは翅が退化し、飛べない種類が多い。
故に、歩行虫とかいて「おさむし」と呼ぶ。
このヤクシマナガゴミムシ、屋久島の標高が高い所のみに住んでいます。
彼らは、屋久島が九州と地続きだったころ、何世代もかけて九州本土から歩いてやって来て、また何世代もかけて屋久島の山を上り詰めたのだと想像しています。
屋久島は登頂しても、時として眺望に恵まれないこともあります。
そんなときは足元の小さな登山家を探してみませんか?
因みに、このヤクシマナガゴミムシ、WEB上にほとんど情報がありません。写真は皆無。
是非、ここで姿を目に焼き付けておいてください。
※と、言うもののゴミムシの仲間は見た目での同定(種類を判定すること)がとっても難しいのです。
水を飲むシーン、前脚(まえあし)の跗節(地面につく部分)が広がっています。オスです。
屋久島環境文化村センターにオス、メスの標本が展示されています。
是非、確認してみてもらえればと思います。
同定に際し、東京農業大学小島弘昭教授にご協力いただきました。
この場を借りて御礼申し上げます。
和名:ヤクシマナガゴミムシ
学名:Pterostichus yakushimaus
分類:コウチュウ目 オサムシ科 ナガゴミムシ亜科
撮影日:2020年7月13日
撮影場所:鹿児島県屋久島町永田岳