晴天続きで梅雨が明けそうな屋久島でドラマチックなシーンに出会いました。2021年7月8日、平野集落にて撮影。
田植えの作業がひと段落してほっとした早朝。田んぼの水をチェックしながら田園を歩いていると、ハヤブサがアマサギを捕食していました。
人間の乱開発や過剰な自然採掘によってハヤブサの生息地は破壊され、生息数が減少しているようです。環境省のレッドリスト「絶滅危惧2類」に指定されています。
ハヤブサは、屋久島には留鳥として住み着いているとされています。いつか出会いたいと思っていたので、この島で共に住む隣人を新たにまた1つ知ることができ、この島の多様性の豊かさに最感動しています。
日本では3〜4月に、3個か4個の卵を断崖の窪みに産むそうです。お母さん主体で、お母さんとお父さんが交代で抱卵し、約1ヶ月後に孵化。親から餌をもらいながら巣の中で育ち、30〜45日後に巣立ち、その後しばらく巣のまわりで過ごした後に、徐々に独り立ちし、生後2年で性成熟するそうです。
ハヤブサのクチバシは幼鳥期はグレーで徐々に黄色へ。腹の模様は縦縞から横縞へ変化していくようです。写真のハヤブサはクチバシはまだ黄色くなってはいませんが、腹の縞模様はもう横になっているので、巣の周りから飛び立ち、独り立ちをしたばかりの若いハヤブサなのでしょうか。梅雨終盤のこの時期は、ハヤブサの独り立ちの季節なのかもしれません。
旅立ちの様子をイマジンすると、なんだか熱い思いが込み上げてきて、感情移入してしまいます。
ハヤブサは海岸の岩場など見通しのよい場所で、主食である鳥が飛んでくるのを待ち伏せ、上空から急降下し、足で蹴落とし獲物を捕まえます。その急降下の速度は時速300kmを超えるそうです。戦闘機や新幹線、人工衛星にまで名前が使われるほど、日本では速さを象徴する鳥とされています。映像屋としては、いつかその瞬間に出会い撮影してみたいものです。
捕食されたアマサギのサイズはハヤブサとほぼ同サイズでした。空中劇はどんなだったのでしょうか。
生まれてから数ヶ月で独り立ちし、モノを全く所有することなく、独りで狩をし生きていく姿は、群れをなして生きる人間である僕の目には、なんともカッコよく映るのでした。
まもなく、屋久島は梅雨を巣立ち、夏へと移行します。
この夏、屋久島の自然界では、どんなドラマが繰り広げられるのでしょうか。
楽しみでしょうがありません。
みなさん、良い夏をお迎えください。
では、またっ!
三脚がなかったので手持ちでしたが、捕食シーンを録画したのでご覧ください。
5分ほどのハヤブサの野生溢れる食事風景です。