mountain plant

石楠花に導かれて

5月の終わりは、屋久島シャクナゲの季節だ。
そして、屋久島がある九州南部梅雨入りの季節でもある。
(ちょうど原稿を書いていたら、5月30日、九州南部は梅雨入りしたと思われると発表された。)

はじめて屋久島シャクナゲの蕾を見た時、こんな美しい原色のピンクがあるのか、と驚いた。個人的には、シャクナゲの満開より、咲き始めの時期が好きだ。ピンクの蕾たちが、ひとつひとつエネルギーに満ち溢れているように感じる。

屋久島に住み始めてから、この季節は、毎年楽しみでならない。ガイドをしていても、お客さんに「笹川さん、嬉しそうですね!」と言われてしまうくらいだ。
もう隠しきれない。隠すことはやめよう。

住んでいる私がそんな気持ちなので、この時期は、島外からもシャクナゲを見たいとたくさんの登山者が屋久島の山に登りに来てくれる。

2020年2月、今年の屋久島シャクナゲにも期待をしつつ、シャクナゲツアーを予定していたが、残念ながらコロナウィルスの影響でツアーを催行することはできなかった。

それでも、シャクナゲは咲く。

どうにかこの美しさを屋久島に訪れることのできない人たちにお見せしたい。
そう思い、今年はひとり山奥に入った。

2020年の屋久島シャクナゲは、例年より、開花が遅れていた。
しかし、それは、私の好きな咲き始めのエネルギー溢れたシャクナゲだ。
心が躍らないわけがない。

今、屋久島シャクナゲは、雨に打たれていることだろう。
真っ白な霧の中で。

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